マーケティングブログ

【小説】マーケティングコンサルタント松子〜売れ残りモデルハウス販売~①誰に編

2021.5.1

私は松子。

東京都港区のコンサルティング会社で働くマーケティングコンサルタント。

私のコンサルティングには、専門分野なんてないわ。事業規模も業界も関係なく、「誰に、何を、どのように」を設計して差し上げるだけ。

さて、今日のお客様はどんなお客様かしら。

今日のお客様は、新潟県新潟市の住宅会社。

築5年のモデルハウスをそろそろ販売したいけど、なかなか売れず時間と広告費がかかっているとのこと。

まずは現場よ、現場なくしてマーケティングはないわ。

-モデルハウスにて

社長「松子さん、どうぞ、こちらが当社自慢のモデルハウス!・・・だったのですが、既に新築して5年が経つので自慢とは言いにくくなってしまいました。」

そう言って60代の男性社長は、飾ってあった猫のオブジェの位置を直した。

松子「そんなことないですよ。」

松子は社長の几帳面な一面を横目で見ながら、案内のペースに歩幅を合わせた。

事前に図面を見せてもらった通り、2LDKのモデルハウス。

松子「比較的コンパクトですね。どのような方向けのお家なんでしょうか。」

社長「それは、もちろん20〜30代のファミリー層です!今は子ども一人の家庭が多いって聞いて、2LDKが良いだろうと。それにここは小学校も近いし、歩道も広い。そもそも、新築建売を買うなんてファミリー世帯しかいませんよ。」

松子「そうなんですね。」

また松子は微笑みながらメモをとる。

松子「では、社長、ファミリー層に販売するためにどのような打ち出しをしていらっしゃるのでしょうか。」

社長「はい!高気密・高断熱!外の寒さに影響されない。つまり、冬あたたかいんです!ヒートショックの心配もありませんよ。」

松子「なるほど。」

松子はまたメモを取りながら、壁紙や床の木目なんかも一通りチェックした。

松子「では、どのようにファミリー層にアプローチしていらっしゃるのでしょう。」

社長「新聞折込でチラシは毎月出してます!それとFacebookと地域情報誌の広告くらいかなぁ。」

松子「新聞折込、Facebook、地域情報誌に広告・・・その地域情報誌の広告見せてもらえますか。」

社長「ああ!これですよ、これ!」

そう言って社長はダイニングテーブルに重ねて置いてあった地域情報誌の裏一面を松子に広げて見せた。

松子「見学お申込みは、電話で・・・あ、ありがとうございます。」

松子は地域情報誌を受け取り、他のページにも目を通した。

社長「松子さん、どうかね。このモデルハウス、売れるかね。」

松子「もちろん売れますわ。ちなみに社長、このモデルハウスが売れなかった理由はなんだと思いますか?」

社長「そうだなぁ、他社の同じような建売に比べるとちょっと価格が高いから、ファミリー層じゃあ手が届かないのかなぁ。」

松子「それもあるかもしれませんね。しかし、売れない理由は値段だけでありません。」

社長「え?じゃあなんだって言うんだい?」

松子は、手慣れた手つきでノートを1ページ使い、大きな丸を2つ、その間に空白をとった矢印を書いたのだ。

松子「まずはこのモデルハウスの理想のお客様を見直しましょう」

そう言って松子は、右側の丸に「美貴子63歳」と書いた。

社長「美貴子?」

松子「そうです。美貴子さん、63歳。私はこのモデルハウスの理想のお客様はアクティブなシニア層だと思うんです。」

社長「そうかい?そうなのかい?」

松子「はい社長。先ほどヒートショックの心配がないとおっしゃってましたね。まだ子どもが小さいファミリー層にヒートショックと言われても、なかなか想像できませんわ。ヒートショックはシニア層の話題のひとつ。ご案内して差し上げると親切ですわよ。」

社長「確かにそうだ。」

松子「そしてこの間取り。子ども1人のファミリー世帯が増えているとはいえ、子どもの人数が定まらない若いファミリー層の視点でみると、子ども部屋は2つ以上確保したいと思うもの。その点、子どもが既に独り立ちした60代のご夫婦であれば、部屋数は2LDKで十分。2つの部屋の使い方は、寝室をわけるも良し、孫が泊まりに来たときのための部屋として綺麗にしておくも良しですわ。」

社長「そうなのか、そういうもんか。」

松子「極めつけにこの立地。小学校が近いと災害時にも安心。いずれご夫婦がひとりで暮らすことになっても、いざと言うときに避難所が近いことは心強いでしょう。歩道が広いというのも、お散歩しやすかったり、車椅子になっても暮らしやすいイメージが広がるんじゃないでしょうか。」

社長「そうきたか。」

ここで松子は話のスピードをいっきに落とした。
そして、丁寧に、社長の想像を広げるように語りかけた。

松子「何より、20・30代ファミリー層は競合他社も狙っているはずなので、確実にアプローチしていても、競合と見比べられてしまうはずです。だからこそ、他社がアプローチしていないシニア層をターゲットにします。20代で家を建てて、現在築40年の家に住んでいて、子ども部屋を持て余している、荷物を減らしてちょうど良い暮らしをしたいと思っている、そんなご夫婦を理想のお客様として、人生2回目のマイホームをご購入いただくのはどうでしょう。」

モデルハウスの中は沈黙になった。

松子は、沈黙を破ることなく、社長の反応を待ちながら、ゆっくりと家の中を見回して想像した。

広すぎないキッチン、ダイニングテーブルまでの近さ、水回りへの動線、日中も明るいリビングは、一日中家にいることも多いご夫婦の二人暮らしにぴったりだと思った。

社長「そうか、ファミリー層ではなくて、シニアだったのか。」

社長は、驚いた様子はなく、ホッとした口調でそうつぶやいた。

社長「松子さん、振り返ってみれば、見学に来ていたんですよ、シニア層のご夫婦。なのに相手にしていなかった。」

松子はうなずきながら社長の話を聞いた。

社長「3組中1組は、シニアの夫婦が来ていてね、ちょうど良いねと奥様が気に入ってくださるケースが多かった。それでも決裁者は旦那さんだろ?だから旦那さんが前向きになるまで旦那さんに話しかけてたんだ。」

松子「そうでしたか・・・」

つづく

この話のつづき【小説】マーケティングコンサルタント松子〜売れ残りモデルハウス販売~②何を編 を見る

 

 

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