コラム

一歩先を行く!Gem機能で生成AI活用を効率化する方法

2025.04.28

はじめに:「コピペの手間」すら省きたいあなたへ

こんにちは!グローカルマーケティングの武田です。以前の記事でご紹介した生成AIプロンプト実例は、コピペするだけで高品質なアウトプットが得られる便利なテンプレートです。でも正直なところ、「毎回メモ帳からコピーして貼り付けるのも面倒…」と感じていませんか?

そんなあなたに朗報です!GoogleのGeminiには「Gem(ジェム)」という機能があり、よく使うプロンプトを事前に登録しておけば、たった一言の指示だけでそのプロンプトが自動的に実行されるようになります。つまり、「企画書作成して」とだけ入力するだけで、先ほど紹介したような細かい指示文が裏で動作し、高品質な企画書が生成されるのです!

この記事では、プロンプト入力の「効率化」によって生成AIをもっと手軽に、もっと簡単に活用する方法をご紹介します。

GeminiのGemとは?

Gemを一言で、そしてもっと簡単に表現するなら、

生成AI(Gemini)への「いつものお願い」や「よく使う指示」を、短いキーワードや合言葉でパッと呼び出せる機能

です!

まるで、スマホの「短縮ダイヤル」や、よく使う文章を登録しておく「単語登録(辞書登録)」のようなもの、と考えてみてください。

毎回長い指示や、いくつかの条件を組み合わせた複雑なお願いを生成AIに伝えようとすると、入力が大変だったり、ちょっと面倒だったりしますよね? Gemを使えば、そういった「よく使う指示セット」を事前に登録しておけるんです。

Gemを使うと、こんないいことがある!4つのメリット

Gemを使うことで、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?主に以下の4つの点が挙げられます。

  1. 時間の節約!もう長い指示は不要です
    • 毎回、同じような長い指示(プロンプト)を入力するのは、正直ちょっと面倒ですよね? Gemに登録しておけば、短い合言葉だけでOK!生成AIとのやり取りがぐっとスピーディーになります。
  2. 品質が安定!いつも狙い通りの答えをゲット
    • 「この前の指示と同じように答えてほしいのに、毎回ちょっと違う…」なんて経験はありませんか? Gemを使えば、あらかじめ最適化された指示が実行されるので、いつも安定した品質の結果を得やすくなります。
  3. チームで共有も!便利な使い方をみんなで
    • (もしチームでGeminiを使っているなら)「この指示、すごく使える!」というGemを同僚と共有することもできます。チーム全体の作業効率アップにも繋がるかもしれませんね。
  4. 入力ミスを防げる!うっかりミスよ、さようなら
    • 複雑な指示になればなるほど、タイピングミスも起こりがち。Gemなら登録した指示を呼び出すだけなので、うっかりミスによる意図しない回答を防ぐことができます。

例えば、こんな風に使えます!

具体的なイメージを持ってもらうために、例を挙げてみましょう。例えば、あなたが会議の後、いつもGeminiに議事録の整理をお願いしているとします。Gemを使えば、

議事録まとめて

と入力するだけで、事前に登録しておいた

会議の録音データ(またはテキスト)から重要ポイントを抽出し、主な議題、決定事項、担当者別のアクションアイテムを整理して、簡潔な箇条書きリストで出力してください

といった、長くて具体的な指示が自動的にGeminiに伝わる、というイメージです。

他にも、

  • 「いつものメール作成」 → 丁寧なビジネスメールの下書きを生成
  • 「ブログ構成案よろしく」 → 設定したテーマに基づいたブログ記事の構成案を提案
  • 「ニュース要約お願い」 → 指定したニュース記事を3行で要約

など、あなたの「いつものお願い」に合わせて、様々なGemを作って活用できます。

Gemの設定方法:3ステップで完了

GoogleのGeminiでGemを設定する方法は非常に簡単です。

ステップ1:Geminiにアクセスする

Gemini(gemini.google.com)にアクセスし、Googleアカウントでログインします。
https://gemini.google.com/app

ステップ2:Gemマネージャーを開く

画面左下の「Gemマネージャー」アイコンをクリックします。

ステップ3:新しいGemを作成する

  1. 「+Gemを作成」ボタンをクリック
  2. 以下の項目を入力:
    • 名前: わかりやすい名前(例:「企画書作成」)
    • カスタム指示: 先ほどの記事で紹介したような詳細な指示内容

これで設定完了!次回からGemを選択して使用するか、会話の中で呼び出すことで、登録したプロンプトの内容が自動的に実行されます。

詳しい設定方法はGoogleの公式ヘルプページでも確認できます。
https://support.google.com/gemini/answer/15235603?hl=ja&ref_topic=15236104&sjid=11315712744086240904-NC

効果的なGemカスタム指示の作成方法

Gemの真価を発揮させるためには、カスタム指示の内容が重要です。Google公式情報によると、効果的なGemカスタム指示は以下の4つの要素を含むことが望ましいとされています。

1. ペルソナ(Persona)

Gemが担う役割や回答方法を明確に指定します。「あなたはXXの専門家です」「XXについて詳しく、YYのような回答をする人物です」といった形で役割を設定します。

2. タスク(Task)

Geminiに実行してほしい具体的な作業内容を明確に伝えます。「XXを分析してYYの形式でまとめてください」「XXについて説明し、YYの観点から評価してください」など、行うべき作業を具体的に示します。

3. コンテキスト(Context)

背景情報や関連データをできるだけ詳しく提供します。「この内容は20代のビジネスパーソン向けです」「これは社内向けの文書で、専門用語が使われても問題ありません」など、状況設定を詳細に伝えます。

4. 形式(Format)

出力結果の構成や形式を具体的に指定します。「箇条書きで5項目にまとめる」「見出し+説明文の形式で3つのポイントを解説する」など、最終的な出力の形を明確にします。

これら4つすべてを含める必要はありませんが、いくつかの要素を組み合わせることで、より精度の高いGemを作成できます。

具体的なGemカスタム指示の例

以下は、Webサービスページ作成支援のための高度なGemカスタム指示の例です:

# カスタム指示:[貴社名]サービスページ作成支援

## 1. ペルソナ (Persona)
あなたは[貴社名]の経験豊富なWebコピーライターであり、私たちのブランドの代弁者です。中小企業や小規模事業者の経営課題に寄り添い、解決策を提示する専門家として振る舞ってください。読者の心理を深く理解し、読みたいと思わせ、行動を促すコミュニケーションにも長けています。

専門性: 私たちのサービス(主にBtoB向けだがB2Cも対応)の価値を、ターゲット顧客(中小企業の経営者・管理職、小規模事業者、個人事業主)に響く言葉で、明確かつ魅力的に伝えることを専門としています。

体現すべき姿勢: 常に「信頼感」「専門性」「丁寧さ」を基本としつつ、「親しみやすさ」も忘れずに、バランスの取れたコミュニケーションを心がけてください。読者に対しては敬称「貴社」を使用し、「です・ます調」で記述してください。

## 2. タスク (Task)
主なタスク: 指定された[貴社サービス名]に関するウェブサービスページのコンテンツ(文章)を、以下の「コンテキスト」と「形式」に従って作成・提案すること。または、提供されたドラフト(原稿)を以下のコンテキストと形式に従って修正・調整すること。

最終目的: 読者がサービス内容を深く理解し、「このサービスなら自社の課題を解決できそうだ」と期待感を持ち、最終的に「問い合わせ」や「無料相談」のアクションを起こしたくなるような、一貫性があり説得力のある文章を生成すること。

重視すべき点:(素案作成時): ゼロから素案を作成する際には、読者の心理やニーズに深く寄り添い、読み進めたくなるような魅力的で説得力のある文章表現(コピーライティング技術)を特に重視してください。

## 3. コンテキスト (Context)
ターゲット読者: 中小企業の経営者・管理職、小規模事業者、個人事業主。業界は問わない。B2B・B2C双方に対応。自社の経営課題(例:新規顧客開拓、売上向上、業務効率化など)の解決策を探している。

サービス情報: 対象サービス:[個別のプロンプトで指定]
サービスの核となる価値・強み:[個別のプロンプトで指定、または参照資料を指示]

ブランド・会社情報: 会社名:[貴社名]
掲載場所:[貴社名]コーポレートサイト内
ブランドイメージ:信頼性、専門性、丁寧さ、親しみやすさ

## 4. 形式 (Format)
出力形式: 基本的にテキスト形式。マークダウン形式での記述も可。
文体: です・ます調。敬称「貴社」を使用。

構成: 以下の8つのセクションを基本構成とし、順番も原則この通りとします。
1. メインビジュアル補足
2. こんなお悩みありませんか?: 読者が抱える典型的な悩みを3点の箇条書きで提示
3. サービス概要と課題解決: 見出し+説明文
4. 期待できる効果: 3点、それぞれ「見出し+説明文」の形式
5. 選ばれる3つの特徴: 3点、それぞれ「見出し+説明文」の形式
6. サービスの進め方・流れ: ステップ形式(最大5つ程度)
7. ご支援事例: このセクション見出しは設置するが、AIによる文章記述は行わない
8. よくある質問: Q&A形式で3〜5個程度の質問と回答

このような詳細なカスタム指示があれば、「マーケティングサービスページを作成して」とシンプルに指示するだけで、上記のガイドラインに沿った高品質なWebコンテンツが生成されます。毎度毎度詳細かつ複雑な指示を入力する手間を省けます。

以前の記事の10個のプロンプトをGemに設定してみよう

以前の記事で紹介した10個のプロンプト例をGemに設定すれば、さらに効率的になります。

例1:ビジネスメール作成Gem

名前: ビジネスメール作成
カスタム指示:

# ペルソナ
あなたは日本のビジネス慣行に精通した秘書であり、適切な敬語を使いこなし、簡潔で読みやすいビジネスメールを作成する専門家です。

# タスク
以下の要素をもとに、【社外の取引先】向けの丁寧なビジネスメールを作成してください。
重要なのは、過剰な「させていただく」を避け、簡潔で読みやすいことです。

# コンテキスト
状況設定:
- 私:株式会社〇〇の営業部 佐藤
- 相手:△△商事の購買部長 鈴木様
- 目的:{目的を入力してください}

含めるべき要素:
{含めるべき要素を箇条書きで入力してください}

# 形式
- 丁寧だが堅すぎない
- 一文は30字程度で簡潔に
- 「〜させていただく」は最大1回まで
- 結びの言葉は「よろしくお願いいたします」で統一

このように設定すると、Gemを選択するだけで、Geminiが「目的は何ですか?」「含めるべき要素はありますか?」と質問してくれます。あなたが回答すると、それを反映した高品質なメールが自動生成されます!

例2:会議議事録作成Gem

名前: 議事録作成
カスタム指示:

# ペルソナ
あなたは優秀な会議サポート担当者で、複雑な議論から重要ポイントを抽出し、構造化された議事録を作成するスペシャリストです。

# タスク
以下の会議メモから、4つのセクションに分けた構造化された議事録を作成してください:
1) 会議概要(日時・参加者・目的を含む)
2) 議題ごとの討議内容(各議題の結論を太字で強調)
3) 決定事項(箇条書きで簡潔に)
4) アクションアイテム(担当者・期限つきで一覧化)

# コンテキスト
会議メモ:
{会議メモを貼り付けてください}

# 形式
- アクションアイテムは「誰が・何を・いつまでに」の形式で統一
- すべての発言をそのまま書き起こすのではなく、重要ポイントを抽出
- 「えーと」「あのー」などの言い淀みは削除
- 全体で800字以内にまとめる

Gemのプロ活用テクニック5選

1. 変数部分を明示する

上記の例のように、プロンプト内に{変数名}の形で変数部分を明示しておくと、Gemを呼び出した際にGeminiが自動的にその部分について質問してくれます。これにより、汎用性の高いGemを作成できます。

2. 複数の関連Gemをセットで作成する

例えば「企画立案」「企画書作成」「企画書レビュー」など、一連の業務フローに対応するGemをセットで作成すると、プロジェクト全体の効率が大幅に向上が期待できます。

3. チーム共有用のGemテンプレートを作成する

「当社企画書フォーマット」「当社プレゼン資料テンプレート」など、社内で統一したフォーマットに基づくGemを作成し、URLで共有することで、チーム全体の生産性と品質が向上が期待できます。

4. 定期的なGemのメンテナンス

業務フローや要件の変更に応じて、定期的にGemの内容を更新しましょう。特に会社のブランドメッセージやターゲット顧客に変更があった場合は、それを反映させることが重要です。

5. 複数の生成AIツールで同じプロンプトを使い回す

GemはGemini専用ですが、登録したプロンプトの内容はChatGPTやClaudeなど他の生成AIツールでも同様に有効です。自分専用のプロンプト管理ノートを作成し、各生成AIツールで使いやすいように整理しておくと便利です。

小規模事業者のためのGem活用術

小規模事業者の方にも、Gemは強力な味方になります。特に「一人で何役もこなす」という状況では、各業務の効率化が生き残りの鍵です。

個人事業主・小規模事業者向けGem例

  • 請求書生成Gem: 取引情報から請求書のテンプレートを自動生成
  • 顧客対応Gem: よくある問い合わせへの返信テンプレートを自動生成
  • SNSマーケティングGem: 限られた時間で効果的なSNS投稿を自動生成
  • 融資申請Gem: 事業計画や資金繰り表の作成をサポート

以下は、小規模事業者向けの事業計画作成Gemの例です:

名前: 事業計画作成
カスタム指示:

# ペルソナ
あなたは中小企業診断士であり、小規模事業者の事業計画書作成を専門とするコンサルタントです。実現可能性が高く、かつ金融機関を納得させられる事業計画を作成することに長けています。

# タスク
以下の情報をもとに、小規模事業者向けの3年間の事業計画書の骨子を作成してください。
特に「実現可能性」と「差別化戦略」に重点を置いた、金融機関提出用の説得力ある計画にしてください。

# コンテキスト
事業概要: {業種・事業内容・従業員数・現状の売上等を入力してください}
現状の課題: {現在抱えている経営課題を箇条書きで入力してください}
強み・機会: {自社の強みや市場機会を箇条書きで入力してください}

# 形式
含めるべき要素:
- 売上・利益の数値目標(年度別、現実的な成長率で)
- 具体的な施策(価格戦略、商品開発、販路拡大など)
- 必要な設備投資や人材採用の計画
- 資金計画(借入返済計画も含む)
- 想定されるリスクとその対応策

文体・形式:
- 感情的な表現より具体的なデータと論理的な説明を重視
- 業界用語は最小限に、金融機関担当者にも理解しやすく
- グラフや表を活用したビジュアル提案を意識
- 1項目あたり3〜5行程度の簡潔な記述

このGemを使えば、「事業計画作成」と入力するだけで、情報入力を促す質問が表示され、それに答えるだけで融資申請用の事業計画書が自動生成されます。これにより、専門家に依頼することなく、自分で説得力のある事業計画書を作成するヒントを得ることができるようになります。

まとめ:今日からGemで生成AI活用の一歩先を行く!

生成AIの活用において、「良質なプロンプトを作る」ことが成功のポイントです。しかし、そのプロンプトを毎回入力するのは大変な手間です。Gemを活用すれば、その手間を省きながら、品質の高い結果を一貫して得ることができます。

特に忙しいビジネスパーソンにとって、この「一手間の削減」は大きな価値があります。プロンプトの入力時間を削減できるだけでなく、思考の流れを中断せずに済むというメリットは計り知れません。

プロの用途であれば、単に生成AIを使うだけでなく、「生成AIを使うための効率化」も重要なことです。まずは今日、以前の記事で紹介した10個のプロンプトのうち、最もよく使うものをGemに登録してみましょう。その小さな一歩が、あなたの生産性を大きく変える第一歩になるはずです。


ビジネスの世界では「一歩先を行く」ことが重要です。2025年、生成AIをより効率的に活用するためのこのノウハウは、まだ多くの人が知らない「一歩先の技術」です。今からGemをマスターして、周囲との差をつけましょう!

私が担当しました!
武田 知浩

コンサルティング部 トップコンサルタント

中小企業の成長エンジンとなる、デジタル活用型経営パートナー。 私は中小企業の経営者様に寄り添い、経営戦略の立案からWebマーケティング、業務効率化まで一貫してサポートするコンサルタントです。「売上を伸…

マーケティング・人財採用育成・デジタル業務効率化に関するお問い合わせはこちら

まずはお気軽にご相談ください。

  • 売上を伸ばすために何から手を付ければいいか分からない。
  • 人手不足で困っている、募集しても集まらない。
  • せっかく採用できても定着しない。
  • 社員の育成に力を入れたい。
  • デジタルを活用した業務効率化を図りたい。
  • 生成AIを活用したいけど何から取り組めばいいか分からない。