コンサルティング部 シニアコンサルタント
こんにちは!グローカルマーケティングの山倉です。
皆さんの職場には、こんな悩みはありませんか?
✔ 若手社員の成長スピードにばらつきがある
✔ 経験の共有がうまくいかない
✔ 育成の進め方に手応えがない
企業の持続的な成長に不可欠な「人財育成」。
しかし、「どのように進めれば良いのか」「若手がなかなか育たない」といった課題を抱える企業も少なくありません。
本コラムでは、個々の経験から学びを引き出し、再現性のある成長を促すフレームワークとして「STAR法」をご紹介します。具体的な事例を交えながら、STAR法を活用した人財育成のヒントと、効果的な育成への道筋をお伝えします。
Table of Contents Plus
STAR法とは?~経験を力に変える思考のフレームワーク~
人財育成において、過去の成功体験や具体的な行動事例を整理し、そこから学びを得て次に活かすことは非常に重要です。しかし、経験を効果的に言語化し、共有するのは簡単ではありません。そこで役立つのが「STAR法」です。
STAR法は、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の4つの頭文字を取ったもので、特定の経験や事例を具体的かつ明確に整理し、分析するための思考フレームワークです。
この手法を用いることで、個人の成功体験や課題解決のプロセスを客観的に把握し、再現可能な学びとして蓄積できます。また、面談やフィードバックの際に用いることで、経験や事例を具体的かつ効果的に伝え、深い対話を生み出すことにも繋がります。
SITUATION(状況):
その出来事は、いつ、どこで、誰が関わり、どのような背景や状況で起こったのか?
例:新製品の納期が迫る中、現場で予期せぬトラブルが発生した。
TASK(課題):
その状況下で、何を達成する必要があったのか?どのような目標や役割が求められていたのか?
例:トラブルの原因を特定し、迅速に復旧させ、納期遅延を回避する必要があった。
ACTION(行動):
その課題を解決するために、具体的にどのような行動を取ったのか?どんな工夫や判断があったのか?
例:過去の類似トラブル事例を参考に、ベテラン社員と協力して原因箇所を特定。代替策の手配と応急処置を同時に進めた。
RESULT(結果):
その行動の結果、どのような成果が得られたのか?数値的な変化や、そこから得られた気づき、学びは何か?
例:迅速な対応により、トラブルの影響を最小限に抑え、納期通りに納品できた。この経験から、トラブル発生時の情報共有と役割分担の重要性を再認識した。
STAR法は、よく話し方のフレームワークや採用面接で候補者の経験を深掘りするためにも使われますが、人財育成の場面では、社員一人ひとりの強みや課題、思考プロセスを理解し、成長を支援するための強力なツールとなります。
STAR法で育成する ― とある製造業の現場から
ここでとある製造業として、STAR法の活用イメージをお伝えします。
主人公は、入社2年目の若手社員・佐藤さん(仮名)。
地方の部品製造工場で、主に最終検品を担当しています。
S(Situation)― 2年目の戸惑い
春、新年度。工場には新入社員が入り、現場に少し緊張感が漂っていました。
佐藤さんは入社して2年目。
まだまだ「教わる側」だと思っていた自分が、少しずつ後輩に教える立場になっていくことに、どこか戸惑いを感じていました。
そんなある日、製品の不良が連続して発生。
「検品が甘かったのでは?」と、上司からやんわりと指摘されます。
心当たりがなかったわけではありません。
実は、慣れてきたことで判断が曖昧になり、「まぁ大丈夫だろう」と見逃した箇所があったのです。
T(Task)― 役割を全うする責任感
「検品工程は最後の砦。ここで止められなかったら、製品がお客様に届いてしまう。」
先輩の一言が胸に残りました。
佐藤さんは、“作業”ではなく“品質を守る仕事”として、検品に向き合おうと決意します。
与えられた役割を、もう一段階深く理解しようとしたのです。
A(Action)― 観察と工夫からの改善
まず取り組んだのは、「できている人の真似」でした。
検品が正確で評価の高い先輩の動きをじっくり観察。
製品の持ち方、見る角度、照明の当て方までメモを取りました。
次に、自分なりのチェックリストを作成。
「この型番はここがズレやすい」「この部位は光を当てて確認」など、
自分の“気づき”を言語化し、一覧表に。
さらに、作業後にその日のミスや気づきをノートに記録するようにしました。
毎日の小さな振り返りが、少しずつ自信に変わっていきました。
R(Result)― 成果が自信と影響力に変わる
1か月後、不良品の発生件数は大きく減少。
検品チームの品質報告では、「佐藤さんのリストを参考にしています」と後輩の声も。
上司からは、「自分で考えて行動するようになったな」と声をかけられ、心からの達成感を感じました。
なにより、「教わる側」だと思っていた自分が、周囲に影響を与え始めていることに驚きと誇りを覚えたのです。
まとめ:STAR法で成功体験を活かし、組織を強くする育成へ
いかがでしたでしょうか。
STAR法で、どのような状況で、どんな課題に対し、どう行動したから成功できたのかを分析すると、
この成功体験から、育成のポイントは、強みを見つけ、引き出す場づくりにあることが見えてきます。
佐藤さんの強みは「観察力」と「改善意欲」。
それを活かすきっかけ、場をつくることで、
彼は主体的に成長し、チームにも良い影響を与えるようになりました。
育成においては、「弱点を直す」より「強みを伸ばす」方が、
本人のモチベーションも高まり、成果につながりやすいのです。
ほかにも、「できている人のまね」をすること、「チェックリストを自分なりに作ること」も成功へのポイントにつながっていることが分析できます。
このようにSTAR法は、個人の経験を整理し、成功体験をもとに組織の学びに変える力を持っています。
今回のコラムでご紹介したSTAR法は、日常のOJTや面談、目標設定など、様々な人財育成の場面で活用できます。
そして、このSTAR法で得られた個々の社員の強みや課題、価値観といった情報は、より効果的で納得感の高い「育成計画」を策定するための貴重な材料となります。
画一的な育成プログラムではなく、社員一人ひとりの特性や目指す姿に合わせた育成計画を策定することで、個々の能力を最大限に引き出し、組織全体の成長を加速させることができます。
当社では、課題・目的に合わせたオーダーメイドの教育計画を設計・提案し、実行支援まで伴走いたします。
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