コラム

「ブランド」をもっと身近に感じよう。
大企業だけのものではない!地域企業のブランド基礎。

2025.10.20

こんにちは。グローカルマーケティングの阿部です。

「ブランドってなんですか?」の問いにすぐに答えられない。「うちの会社やお店はブランドなんてないよ」「ブランドっていまいちわからない」そう感じている方は同時に

「高級で高価なブランドものをあつかっていない」

「良い商品・サービスを作っているのに、なぜか選ばれない」

「他社に機能やサービスに後れを取っていないのに選ばれない」

お客様の声、資金繰り、人財の確保といった様々な悩みに向き合っている皆様であれば、一度はそう感じたことがあるかもしれません。

「ブランド」という言葉は、大企業のもの、あるいは、「特別な何か」を持っている会社だけの話だと、どこか遠い存在のように感じていませんか?

たしかに、普段の生活の中、テレビやネットでお金をかけた映像・デザインや有名人を使った広告物など大企業のブランディングに触れているとそう感じてしまうかもしれません。

しかし、決してブランドやブランド構築は大企業のモノでも、ここ一番でお金をかけて行うものだけではありません。

ブランドとは「お客様に提供している商品・サービスの真の価値」を正しく伝える道具であり、お客様との距離が近い地域企業であればこそ大切にしたいマーケティング要素となります。

このコラムは「価格競争から脱したい」「地域で唯一無二の存在になりたい」と願う、地域企業のための「ブランドってなに?」の疑問解消の初めの一歩になること目指したコラムです。

「ブランド」ってなに?
~自分なりのイメージを掴もう~

「ブランド」に対して明確なイメージが持てない。私も最初はイメージを掴むことができず何冊も書籍を読んだりセミナーを受けたりしてきました。

そこで感じた「ブランド」「ブランド構築」の難しさ。それは書籍やセミナーごとに表現が異なることでした。それでも、いろいろな表現に触れつつ実務を重ねる中で自分なりにイメージを作ることができました。

ブランド理解への近道はおそらくないでしょう。知識習得→実践→解釈修正を繰り返すことで自身の業務や思考の癖にマッチした自分なりのイメージを構築することが大切です。

今回は一般論ではなく迷いを経験した私なりのイメージを主にお伝えいたします。

※色々なマーケティング関係組織や経済産業省のHPでもブランドを説明定義しています。それらも是非参考にしてみてください。

ブランドの役割・機能・対象

ブランドの役割。それは「区別される事」です。ポイントは「区別する」ではなく「区別される」としている事です。そして、ブランドの機能は「イメージを作ること」だと考えています。ブランドの対象は商品やサービスを直に利用するターゲットだけではなくターゲット顧客の周囲の人に対しても役割と機能を果たす必要があります。

マーケティングはターゲットを絞り実施することが一般的です。しかし、ブランドはターゲット以外にも役割を果たす必要があります。それは、消費者以外にも「区別される」こともブランドの役割だからです。
例えば、高級デパートの紙袋を手土産用に取っておく人がいます。それは、お土産の送り手と貰い手の双方の中に高級デパートに対する共通のブランド機能が働いており価値を共有しているので成立するのです。

ブランドの考えを下記図を用いて解説します。

「企業ブランド=服を着ていないあなた自身へのイメージ」「商品ブランド=洋服であり自社商品、サービスのイメージ」と想像してください。ここで気を付けていただきたいのはあくまでイメージであり商品サービスの機能(洋服で言うと暖かい、伸びる生地)ではありません。

人型のあなたのイメージは「読書が好きそう、優しそう」と仮定します。ここでのあなたのイメージがブランドです。「性別、読書量、表情」などの五感で知覚できる機能ではなく「〇〇そう」というイメージです。「性別、読書量、表情」のブランド要素は知覚できブランドを作り上げる材料です。ブランドそのものはあくまで「〇〇そう」というイメージとなります。

次に商品Aブランドを着てみましょう。
・商品Aブランド(イメージ)=さわやか、動きやすそう
・商品Aブランドを作る材料 =水色、ジャージ素材

商品Aのブランドを着たあなたのイメージ「読書が好きそう、優しそう」+「さわやかでスポーティー」となります。

次に商品Cブランドを着てみましょう。
・商品Cブランド(イメージ)=高そう、動きずらそう
・商品Cブランドを作る材料 =シルク、タイトなデザイン、高級ブランドロゴあり

商品Cのブランドを着たあなたのイメージ「読書が好きそう、優しそう」+「裕福そう、おとなしそう」となります。

どうでしょう。身に着ける商品ブランドを変えると性別イメージさえも変わります。また、商品ブランドを作る材料が変わることでもイメージは大きく変わるはずです。しかし、あくまでも人型のイメージ自体と組み合わせた印象になります。
それは、企業ブランドと商品ブランドは決して切り離せないと言う事です。あなた自身のイメージは洋服に影響を及ぼし、商品ブランドもあなたへ影響を及ぼします。インターネットやSNSによって企業を深く知ることができる現代では企業のブランドの重なりは重要性を増し、企業ブランドと商品ブランドの整合性が重要になります。

整理すると。ブランドの役割。それは「区別される事」でした。加えて、周囲にも役割と機能を果たす理由。それは、洋服を着るあなた以外の洋服を見る周囲の人が「ジャージは動きやすい」「シルクは高級」という認識がないとブランドの材料として機能しないことにあります。そのため、ブランド構築はターゲットだけにとどまることのない活動だと考えています。

ブランディングってなに?

ブランドを作り育てる事をブランディングと言います。「ブランディング=露出を高める。注目を集めること」という内容を目にすることがあります。しかし、それは手段の一つであり最初に注力すべきことは他にあります。

ブランディングの目的は「選ばれるイメージを作り育てる事」にあります。「絆を深める」と言われることもありますが、個人的にはどのような絆を作るのか、企業と絆を作りたいと思わせる事が前提にあり、そのためには「選ばれるイメージを作り育てる事」が必須であると思っています。

そのため、最初に取り組む事はどんなブランドにしたいのかを明確にすることです。それは企業ブランドも商品ブランドも同じです。注意したいのはどんな「商品にしたいか」ではない事です。先に述べたように、ブランドは「イメージ」です。まずは「どう思われたいか」を明確にすることです。思考の順番としては「どんなブランドにしたいか」→「どんなイメージ材料が必要か」となります。材料は商品機能だったり広告だったりパッケージだったり様々あります。企業であれば一挙手一投足がブランドに直結します。

単純化するとブランディングとは様々な材料を使い対象の中にイメージを構築することかと思います。「対象の頭にどんな材料でどんなイメージを構築したら選ばれるのか」を考える事こそがブランディングの肝であると言えます。決して露出を高める事そのものがブランディングではないのです。

地域企業にとってのブランドとブランディング

地域密着で活動する企業は限定された顧客に選ばれる必要があります。ブランディングを怠り、商圏の顧客の中に自分のブランドが存在しなければ露出にコストをかけることができる大企業に勝つことはできません。

イメージ作りの際に「精神的な近さ×思い出す頻度×カスタマイズ」と考える事があります。大企業は頻度を高めるためにコストをかけます。そのかわり、大多数の目に留まってイメージ構築したいのでメッセージは凡庸になりがちです。その凡庸さを埋めるために接触頻度の高いタレントを起用しクリエイティブに投資してイメージの強化を図っているのではないかと思います。

では、地域企業はどう対抗するのか。地域企業は「精神的な近さ」「カスタマイズ」が対抗するためのカギだと思っています。特におすすめは無形の材料でイメージを構築する事です。むずかしいことはありません。普段の接客サービス、何気ない世間話、地域交流、手作り感で良いのです。これらは顧客1人1人に対してカスタマイズ可能であり精神的に寄り添う事ができます。大切なのはそれらが顧客の中にどうイメージされてブランドになっていくのか、どういうイメージを持たれたいのかという意思がそれらの活動に反映されているかが重要です。

ブランドは奥深く、変化が速い現代では年々その重要性は高まっています。一方、企業や商品と消費者の精神的な距離はSNSなどの発展でどんどん近くなっています。どうやって「選ばれるイメージを作り育てる事」を実現するのか。どんなイメージなら選ばれるのか。常にお客様との関わりで模索し続ける事が重要になります。

ブランドに関して迷った経験を持つ私の解釈が多分にあるコラムとなりました。それは様々な考えに触れてほしいという思いから、あえて一般的なお話しでない部分も一助になると思い含めました。そして、情報を取捨選択し、書籍や実務を通して色々な考えに触れてみてください。

とは言え、ブランディングの経験を積もうにもお一人では難しいことは多々あります。また、外部の考えや客観的な意見はブランドを作る上では大変重要な要素になります。ブランドに興味が湧いたけど次の打ち手が分からない。実務でチャレンジしたいけど不安がある。などの時には弊社にお気軽にご相談ください。ブランドやブランディングの経験や知見が豊富なスタッフが伴走してご支援いたします。

▼ブランド構築が気になったらまずはご相談ください ブランド構築・リブランディング支援

私が担当しました!
阿部 鉄矢

コンサルティング部 コンサルタント

コンサルタントとしてお客様の課題を明確にし、その解決方法をご提案します!インストアマーケティングを得意としておりますので、店内販促に関することはご相談ください。

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