コンサルティング部 コンサルタント
こんにちは!コンサルタントの藤井俊介です。
今回は海外販路開拓の肝とも言える「海外営業」について、成功ための3つのポイントを、自身のインド・ベトナムにおける合計6年間の海外営業の実務経験をもとに、お伝えします。
なお弊社では、「海外販路開拓」について30分無料オンライン相談を承っています。ちょっとした事の確認・相談でも大丈夫ですので、こちらからお気軽にご相談ください。
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国内営業と海外営業の違い
まず国内営業と海外営業の違いについてですが、本質的にはどちらも同じで、大きな違いはありません。
営業活動の基本的な流れは、
見込客に出会う ⇒ 初回面談 ⇒ 定期的に面談して信頼関係を構築 ⇒ 引き合いを貰う ⇒ 見積り提出 ⇒ 受注 ⇒ 納品 ⇒ アフターフォローする
といった流れで、国内も海外も変わりません。
ただし国によって商習慣は異なるので注意が必要です。
例えばインドでは、購買担当者に課されるKPI(目標)が「初回見積り金額から何%値引して購入できたか?」といったケースが存在するため、初回見積り金額は意図的に高めに提出した上で、クロージングの際に値引きしてあげ、購買担当者が喜ぶよう配慮する、といったテクニックが存在します。
ただし、こうしたテクニックは本質的には重要ではありません。
面談の「質」より「量」
面談の「質」は重要ですが、それ以上に「量」、つまり面談の「頻度」が重要です。
みなさんは「ザイオンス効果」というものをご存じでしょうか?
ザイオンス効果とは、特定の人に何度も接触することで、親しみや信頼が高まっていくという心理的効果のことを指します。単純接触効果とも呼ばれます。

つまり、ある顧客と120分の面談を年に1回行うよりも、30分の面談を年に4回行うほうが、その顧客との信頼関係が構築され、引き合いに繋がりやすくなります。
相手が日本人であれ外国人であれ、こまめに顔を合わせて親近感を高めていくことが重要です。インド人であれベトナム人であれ、私が新規受注を獲得できた顧客はほぼ全て、複数回こまめに顔を合わせ、地道に信頼関係を構築した顧客でした。
また、3ヵ月で顧客の状況は変わるとも言われています。実際に私がインドでとある機械の法人営業をしていた時、ある会社を訪問した際に「新しい機械なんて必要ない!」と軽くあしらわれたことがありました。
しかし、3ヵ月後に同じ会社を再度訪問してみたら「助かった!ちょうどその機械が1台必要なんだよ!」などと状況が一変しており、1台受注できました。
状況確認を行う意味でも、1顧客と定期的にコンタクトを取り続けることが理想です。
以上の理由から、オンライン面談も組み合わせながら、3ヵ月に一度はその顧客と定期的に面談して関係性を維持・構築することが重要です。
LTVが高い顧客をターゲットにする
1顧客との接触頻度を高めるということは、それだけその顧客に対して多くの時間と労力を費やすことになります。
そのため、多くの時間や労力を費やした分、それだけ大きな取引に繋がる可能性のある顧客なのかどうか、しっかり見極めた上で営業活動を行うことが重要です。
みなさまはLTV(ライフタイムバリュー)という言葉をご存じでしょうか?

LTVとは、1顧客との取引が開始してから終了するまでの期間に得られる利益の総額を表す指標のことです。顧客生涯価値とも呼ばれます。
BtoBのビジネスにおいては、新規顧客の獲得にコスト(お金・時間・労力)がかかるため、費やしたコストに見合うだけの利益をもたらす顧客かどうか、つまりLTVが高い顧客かどうかを判断した上で、ターゲット顧客を設定することが重要です。
「価格が高い理由」を説明できる
日本製品を海外で販売する場合、輸送費や関税などの影響で、現地ローカルの競合品と比較して販売価格が高くなるケースが多くなります。
特に、日本人の手作業による工芸品や、多額の開発費を投資して完成した高品質製品など、付加価値が高く高価な日本製品は数多く存在することでしょう。
そのため、海外現地の企業を相手に営業活動を行う中で「価格がネックで受注できない」といったケースは多く発生します。
ここで重要なのは、値下げを行い、利益を削ってまで受注にこぎつけようとすることではありません。
重要なのは、競合と比べてなぜ価格が高いのか、その理由をしっかりと説明できることです。
私がインドで機械の法人営業をしていた時のことですが、よく顧客のインド人の購買担当者に「御社の機械は高いですね…」などとしぶられました。
しかし、そのように言われると、私はいつも「ラッキー!」と思っていました。
なぜなら、自社製品の価格が競合よりも高い理由、つまり自社製品の強み・特長を説明できる絶好の機会だからです。
「そうなんです!弊社の機械は他社と比べて価格が高いんです! と言うのも、弊社は特に~~に労力と費用をかけており、それによって機械が停止しにくいという特長があるからです。ですから、絶対に機械を止めたくない、というお客様にはぴったりの製品なんです。逆に、多少は機械がストップしてもいいからとにかく安い機械が良い、といったお客様の場合は、他社の機械をお勧めします。」
当時私が海外営業でターゲットにしていた会社は自動車業界が多く、絶対に機械を止めたくないという会社ばかりでしたので、このように言うと、価格が高いことに納得し、競合より価格が高いにもかかわらず購入してくれました。

競合に比べて自社製品の価格が高い場合、その分の機能や特徴など、そこには必ず何かしらの理由があるはずです。
その理由が、顧客が求めるニーズとマッチしたもので、かつ、他に同じような競合製品が存在しなければ、顧客からするとその製品を購入しない理由が無くなります。
価格が高い理由を自信を持ってしっかりと相手に伝えることで、「価格が高い」というデメリットがメリットに変わるのです。
まとめ
以上、今回は海外営業において重要な3つのポイントについて、お伝えさせていただきました。
海外営業で成果を上げるために本質的に必要なのは、特別なスキルやテクニックではありません。
基本は国内営業と同じで、「面談の頻度を重視する」「LTVが高い顧客を見極める」「価格が高い理由を自信を持って伝える」など、ポイントを押さえて行動することが大切です。
特に、「価格が高い=売れない」ではなく、「価格が高い=価値がある」と伝えられるかが、海外営業の成功の分かれ道になります。
ぜひみなさんも、「誰に、どんな価値を伝えるか」を意識しながら、海外市場での営業活動に挑戦してみてください。
積み重ねた経験は、必ず成果として返ってきます。
なお弊社では、「海外販路開拓」について30分無料オンライン相談を承っています。ちょっとした事の確認・相談でも大丈夫ですので、こちらからお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。