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「生成AIがすごいのは分かる。でも、うちの現場の業務にどう落とし込めばいいのか」
そんな問いを抱えていた、新潟県長岡市の建設・製造業、越後交通鉄工所様。
社長ご自身の強い熱量を起点に、現場が抱える42の業務課題を一つひとつ棚卸ししながら、参加者の皆様ご自身が「自社業務に効く生成AI活用ツール」を作れるようになることをゴールに、全5回・約3ヶ月の実践型伴走支援を行いました。
≪取り組みのサマリー≫
・支援回数・期間:全5回(各120分)・約3ヶ月
・前提環境:Google Workspace 導入済み
・ご支援スタイル:講義 + 宿題 + 作成 + 討議による「作って育てる」実践型
・【Before】 ▶紙とExcelの往復、過去資料はサーバーに眠ったまま、若手はベテランに聞きづらい状態。生成AIに興味はあるが、各メンバーが自分の業務に落とし込めず手探り。
・【After】 ▶参加者ご自身が、Gemini・NotebookLM・Google Workspace 連携・AppSheet・GAS を使い分け、複数の実用プロトタイプ(就業規則コンシェルジュ/実施仕様書ライター/役所の仮想職員ボット/入札公告差分アナリスト/KY記録AI読取の仕組み/現場音声入力検査アプリ ほか)を自力で作り、改善できる組織へ。
・主な成果:3月末の経営計画発表会で、参加者ご自身が全社員へデモ発表を実施。「生成AIを育てる」共通言語が組織に根付いた。
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ご依頼の経緯:「ツール学習で終わらせたくない、社員が自分で生成AIを業務に組み込める状態にしたい」
「生成AIの可能性は社内に絶対に浸透させなければならない」
最初のご相談時、社長から伝わってきたのは、強い危機感と熱量でした。
社長ご自身がYouTube等で学ばれ、Pythonで図面から数量表を抽出するシステムを自作されるほどの行動力で、社内に有志の勉強会も立ち上げられていました。
それでも頭では分かっていても、生成AIに無関心な層との温度差や、「ツールには触れたが、メンバーが自分の業務に落とし込めない」という壁にもどかしさを感じていらっしゃいました。
そこでまず、各部署から「困っていること」を徹底的に洗い出すところから始めました。出てきたのは実に42項目。雨の日に紙の記録が濡れて困るというアナログ作業の悩み、若手がベテランに質問しづらいコミュニケーションの壁、サーバーに眠ったまま使われない過去の施工計画書など。
これらを「生成AIで解けるもの/別の方法で解くべきもの」に仕分けながら、3ヶ月の伴走が始まりました。
ご支援プロセス
本支援の特徴は、「講義で学ぶ → 宿題で自分の業務に当てはめる → 持ち寄って討議する」というサイクルを徹底したことです。その場で完結させず、自席に戻って手を動かさざるを得ない状態を意図的に作る。これにより、ツールの使い方ではなく「自分の業務を生成AIで解く力」を身につけていただくことを狙いました。
Step1:Gemを解説し、「自分専用生成AIを作ってくる」を宿題に
初回は Gemini の Gem(カスタムボット機能) の仕組みと、プロンプトの基本の型をハンズオンで解説。研修の最後に、「次回までに、自分の業務に効くGemを一つ作ってきてください」と宿題をお出ししました。
意図はシンプルで、講義の場だけで生成AIに触れても、自席に戻った瞬間に手が止まってしまう。これは多くの研修で起きる現象です。あえて宿題で「自分の業務と向き合う時間」を強制的に作ると、ツールが業務に染み込んでいきます。
第2回の冒頭で持ち寄っていただくと、総務担当者の方は就業規則の問い合わせに該当条文で答える「就業規則コンシェルジュ」を、社長は施工計画書から「実施仕様書」を自動転記するライターを90点以上の精度まで作り込んで来られました。
「うまく動かないときは生成AI自身にプロンプトを直させる」というコツを掴まれ、生成AIが「得体の知れない魔法」から「指示すれば動く相棒」に変わっていく手応えが、参加者の表情から伝わってきました。
Step2:NotebookLMを解説し、「自社データを根拠に答える生成AIを作ってくる」を宿題に
第2回では、生成AI最大の弱点であるハルシネーション(もっともらしい嘘)を減らす仕組みとして NotebookLM を解説しました。社内規定や工事仕様書のように間違いが許されない領域で生成AIを使うには、自社データのみを根拠に回答させる仕掛けが必要だからです。
ここでも宿題を出しました。「次回までに、自分の業務で参照する社内資料をNotebookLMに入れて、使える状態にしてきてください」。
第3回で持ち寄っていただくと、200ページ超のデータブックから重量や寸法を瞬時に検索する仕組みや、過去の入札公告と今年の公告から差分を抽出する「アナリスト」が次々と登場しました。
特に印象的だったのは、ある参加メンバーが役所の土木工事仕様書140本以上を投入して「脳みそ」を作り、それをGemに接続して「役所の人間のように回答する仮想職員」を構想・実現された場面です。1回目と2回目で学んだことを応用的に組み立てられていて素晴らしかったです。
Step3:Google Workspace の中で使えるGemini連携を解説する
ここまでで「Gem」「NotebookLM」という2つの武器を手にしていただいた上で、第3回では視野をさらに広げ、Google Workspace の中で使える Gemini 連携、Gmail・スプレッドシート・ドキュメント・ドライブ上で直接生成AIを呼び出す使い方をご紹介しました。
別画面のチャットに切り替えてコピペする、という動線が消えるだけで、生成AIを使うハードルは大きく下がります。「日常業務の中に生成AIが居る状態」を体感していただくことで、次回以降の「自分で何を作るか」の発想が一段と広がる土台を整えました。
Step4:「何を作るか」を構想し、実際に手を動かし、討議する
第4回からは、いよいよ「自分の業務で本当に使える生成AIを実装する」フェーズに入ります。各メンバーがこれまで学んだGem・NotebookLM・Workspace連携を組み合わせ、ターゲット業務を選定し、プロトタイプを作り、その場で討議する、というサイクルを回しました。
象徴的だったのが、協力業者から毎日大量に届く「手書きのKY(危険予知)記録表」を生成AIに読み取らせる挑戦です。最初の出力はデタラメでした。それでも諦めず、討議の中で「生成AIに”この業者はこの工事をする”というお手本ルールを前提条件として渡してみては」というアイデアが出て、その場で試したところ精度が一気に実用レベルへ。「作って、評価して、改善する」のサイクルが回り始めた瞬間でした。
並行して、社長がGASで自作された「現場からスマホ音声入力 → 事務所のExcelに自動転記される塗装検査アプリ」を皆様に共有いただき、ノーコードでアプリが作れる Google AppSheet をご紹介。生成AIの研修でありながら、あえて「生成AIだけで解こうとしない」という視点も加えました。データ収集の入口がアナログのままでは、どんなに賢い生成AIを作っても活きないからです。

Step5:仕上げと「その先」へ:耐久テストとAI×ITツールのハイブリッド活用
最終回は、3月末の経営計画発表会に向けた仕上げの回です。各メンバーが作り込んだ「仮想職員」「社内規定コンシェルジュ」などに、わざと規定にない意地悪な質問(「誕生日プレゼントの規定は?」など)を投げ、生成AIが正直に「分かりません」と答えるかの耐久テストを実施。本番環境に出せる安全性を確認しました。
そして最後に、生成AIの限界を超える「次なる武器」として Python・GAS をご紹介。生成AI単体ではできない「図面の比較照合」や「PDFへの直接マーカー記入」も、生成AIにコードを書かせて実行するという発想に切り替えれば実現できます。
社長が既にPythonで実装されていた事例を起点に、4月以降の高度な自動化への道筋を全員で共有して支援を締めくくりました。
お客様の声
「書類を作る時間は生成AIで減らして、その分、協力会社や客先との折衝など「人間にしかできない業務」に時間を割きたい」
研修の途中、設計補助の担当者からこの言葉が自然と出てきたとき、プロジェクトが目指したゴールに皆で立てた手応えがありました。生成AIを使うこと自体が目的ではなく、人間にしかできない仕事に時間を取り戻すための道具として、社内に浸透してきている実感があります。(越後交通鉄工所様)
この事例が示す、弊社が提供できること
【応用可能な企業像】
・新しいツールを導入しても定着しなかった苦い経験をお持ちの企業様
・属人的な業務が多く、担当者不在時に業務が止まってしまうとお悩みの企業様
【関連サービス】
【弊社だからこその価値】
生成AIの研修というと、ツールの使い方を「教わる」場で完結しがちです。弊社の支援は、講義のあとに必ず宿題と討議を挟み、社員の皆様ご自身が自分の業務に生成AIを組み込み、改善まで回せる状態を目指します。「生成AIを育てる」感覚を組織の共通言語にすることで、研修期間が終わったあとも自走できる土台が残ります。
担当コンサルタントからのひと言
このご支援で一番嬉しかったのは、設計補助の方から「人間にしかできない業務に時間を割きたい」という言葉が自然と出てきた瞬間でした。生成AIの研修はどうしても「ツールの使い方」で完結しがちですが、本当に大事なのは現場の方が「自分の仕事をどう変えたいか」を語り始めることだと考えています。宿題を持ち寄って討議する場で、メンバーの皆様が壁にぶつかりながら粘り強く生成AIを「育てていかれた姿」に、私自身も多くを学ばせていただいた3ヶ月でした。4月以降は、生成AIにPythonやGASを書かせる「ハイブリッド活用」のフェーズへ。引き続き頼れるパートナーとして伴走してまいります。(武田 知浩)
関連事例・ご相談窓口
「生成AIに興味はあるが、社員一人ひとりが業務に組み込める状態まで持っていけるか不安……」
「ツール研修を受けたものの、現場で使われる形にならなかった……」
そんな漠然としたお悩みからで構いません。まずは貴社の現状をお聞かせください。
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