コラム

なぜ、社長しか決められないのか?「右腕不在」のリスクと、No.2を育てる5つの要素

2025.12.19

こんにちは。グローカルマーケティングの八田です。

日々、多くの中小企業経営者様と膝を突き合わせてお話しする中で、業種・業界を問わず、非常に多くの社長が共通して口にされる「悩み」があります。

「現場も、営業も、総務経理も、結局すべて私が決めないと進まない」「もっと社員に任せたいが、任せられる人財が育っていない」「忙しすぎて、自分が教える時間も取れない」

皆様の会社ではいかがでしょうか?「自分がやった方が早い」と、社長ご自身が現場の最前線で走り続けてはいませんか?

今回は、多くの中小企業が直面する「右腕不在」のリスクと、部門長クラスの「管理者」を、社長の代わりを務められる「経営幹部」へと変貌させるために必要な5つの要素についてお話しします。

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「社長の右腕」がいないことの経営リスク

中小企業庁の「中小企業白書(2023年版)」によると、右腕となる経営幹部が存在する企業は、そうでない企業に比べて売上高増加率の水準が高く、新規事業の創出や既存事業の拡大にも大きく貢献しているというデータがあります 。

逆に言えば、右腕がいない組織は、成長の天井が「社長の時間と能力の限界」で決まってしまう可能性があるということです。

社長に全ての承認が集約される組織では、以下のような弊害が生まれます。

・意思決定の遅延:社長が捕まらないと現場が止まる。
・機会損失:クイックな経営判断ができず、チャンスを逃す。
・リスク管理の甘さ:攻めの経営に集中したい社長が、守りの管理業務まで抱え込んでしまう。

本来、社長は「次のタネ」を探す未来の仕事に時間を使うべきです。しかし、日常業務の決裁に追われ、育成の時間すら確保できないのが実情ではないでしょうか。

なぜ「優秀な部長」は「経営幹部」になれないのか?

「うちの営業部長は成績優秀だし、製造部長も現場をよくまとめている。でも、経営の話となると…」そう感じることはありませんか?

実は、「管理者(部長クラス)」と「経営幹部(役員・右腕クラス)」には、決定的な視座の違いがあります。

管理者:自部門の成果を最大化する「部門最適」の視点。
・経営幹部:全社的な利益と成長を考える「全体最適」の視点。

多くの管理者は、自分の専門分野(営業なら売ること、製造なら作ること)の知識は豊富ですが、財務、人事、法務、ITといった「経営に必要な幅広い知識」まで持ち合わせている方は少ないと思います。そのため、判断軸がどうしても現場寄りになり、全社的な経営判断を任せることができないのです。

彼らを「経営者」へと変貌させるためには、OJTだけでは限界があります 。体系的なインプットと、自社の経営課題に対するアウトプットが必要です。

経営幹部に必須となる「5つの知識武装」

社長の右腕を育てるためには、具体的に何を学ばせるべきなのでしょうか。当社が提供する「経営幹部育成研修」のカリキュラムに基づき、必須となる5つの要素をご紹介します。

① 営業・マーケティング戦略:市場を俯瞰し「勝てる場所」を見極める

単に商品を売るだけでなく、「誰に・何を・どのように」価値を提供するかを戦略的に設計する力が必要です。具体的には、市場分析を行い、自社独自の強み(USP)を確立することです。そして、勘や度胸ではなく、データに基づいたデジタルマーケティングや、顧客管理の考え方などを学ばせる必要があります。「売上を作る仕組み」を社長と同じ目線で語れるようになることが第一歩です。

② 人財マネジメント:経営戦略を「人」の動きに落とし込む

「人が採れない」「育たない」と嘆くだけではなく、経営戦略を実現するための人事戦略を描けるようにします。採用におけるミスマッチを防ぐ選考スキル、納得感のある評価制度の設計、そして社員のモチベーションを引き出す組織マネジメント。ヒト・モノ・カネ・情報の「ヒト」を最大限に活用し、組織を動かす力を養います。

③ 財務・会計:数字で会社の「健康状態」を把握する

「決算書は税理士任せ」では経営幹部は務まりません。PL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー計算書)の構造を理解し、会社の資金の流れを読み解く力が必要です。損益分岐点はどこか? 投資対効果は十分か?数字を共通言語として、社長と対等に議論できる財務リテラシーが不可欠です。

④ 情報セキュリティと内部統制:会社を「守る」リスク管理

攻めの経営を行う社長に対し、右腕には足元を固める「守り」の役割も求められます。昨今急増するサイバー攻撃への対策や、情報漏洩リスクへの備え。さらに、社内の不正を防ぐ内部統制や、有事の際の事業継続計画(BCP)まで。「見えない脅威」を正しく認識し、会社を存続させるための防衛策を講じる能力も必要です。

⑤ IT活用と経営計画策定:未来を描き、提言する

最後は、これまでの知識を統合し、未来を創る力です。DX(デジタルトランスフォーメーション)の本質を理解し、データを活用した科学的な経営判断を行うこと。そして、営業・人事・財務・リスク・ITのすべての要素を統合し、自社の「次なる経営戦略」を社長に提言できること。ここまでできて初めて、真の「右腕」と呼ぶことができます。

経営幹部の育成は「未来への投資」

これら5つの要素を身につけた幹部が一人でも生まれれば、組織は劇的に変わります。

意思決定速度の向上:共通言語ができるため、スピード感のある決断や業務遂行が期待できます。
・部門間連携の強化:他部門の理解も進むことで、全社レベルでのシナジー創出が期待できます。
・社長の時間の創出:安心して任せられる領域が増え、社長は新規事業やトップセールスに時間を割きやすくなります。

しかし、これらを社内のリソースだけで教育するのは非常に困難です。教えられる人がいない、あるいは体系化されていないことがほとんどだからです。

グローカルマーケティングの「経営幹部育成研修」では、単なる座学にとどまらず、ワークショップや自社課題の解決プラン作成を通じて、学んだ知識を「血肉化」させることに主眼を置いています。

「いつか育てばいい」ではなく、「今、育てる」。組織の停滞を打破し、次の成長ステージへ進むために、本気で「経営幹部育成」に取り組んでみませんか?


▼本コラムでご紹介した研修の詳細はこちら

・安心して任せることができる人物が欲しい
・自分と同じ目線の人がいてほしい
・育てたいけど時間が無い

このような感覚をお持ちであれば、ぜひ一度、当社までお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

私が担当しました!
八田 元之

コンサルティング部長

経営・営業・採用・育成・DXの戦略策定から実行まで、あらゆるお悩みについてお気軽にお話しください。貴社の外部"軍師"としてお仕えします。

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