コンサルティング部 マネージャー
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≪ご依頼の背景≫
旋盤による丸モノの加工を得意とする金属加工業で、ATM関連機器・医療機器・業務用厨房調理器具の部品製造を行っておりました。これまでは下請受注型のビジネスで、お客様に対して営業活動を行ったことはありませんでしたが、今後は利益率の高い新規案件の獲得や新規顧客開拓も必要になると感じていらっしゃったため、お客様への提案内容(=営業戦略)構築支援をご提案させていただきました。
≪成果≫
ご支援実施期間内で新規案件5件の獲得
≪ご支援内容≫
120分×全5回のプロジェクトで下記の内容のご支援を実施しました。
【第1回】
・財務状況の分析
・これまでの事業の変遷、売上割合などの現状把握
【第2回】
・技術の棚卸
・顧客ごと、事業ごとの売上割合、粗利の確認
・既存顧客を中心とした市場動向の分析
【第3回】
・ターゲット選定
・自社目線での強みの整理、顧客視点でのメリットへ変換
【第4回】
・競合比較を踏まえた提案内容の構築
・新規顧客との接点づくり
【第5回】
・営業プロセスと目標設定
・見積確認時のヒアリング、商談時のヒアリングのコツ
今回のご支援ではプロジェクト会議の4回を、想定ターゲットへの提案内容(=営業戦略)の構築に費やし、アポの取得方法や商談時のトークのコツといった営業戦術については5回目のプロジェクト会議と以降のご支援の中でサポートさせていただきました。
新規案件獲得のポイント①:ターゲットを定める
新規営業でまず最初に考えるべきは「どのようなお客様を狙うか」です。
特に「利益率の高い案件を受注したい」「長く取引できるお客様を開拓したい」など、理想の受注案件をイメージできている場合には、そうした受注をくれるお客様はどんなお客様なのかを具体的に整理しておく必要があります。
■利益率の高い仕事の傾向を掴む
まずはこれまで請け負ってきた案件の中で利益率の高い仕事を整理していくことから始めます。
取引先ごとに売上・粗利(可能であれば営業利益)を整理する。
取引案件ごとに売上・粗利(可能であれば営業利益)を整理する。
こうすることで、自社にとって利益率の高い仕事をもたらしてくれるお客様の傾向を掴むことができます。
■市場の機会を考慮する
長くコンスタントに取引ができるためには、お客様自身のビジネスが成長していく必要があります。
例えば、海外現調化が進む汎用部品は今後国内生産の需要が落ちていくことは明らかです。
一方、皆様もご存知のとおり、生産工程を省力化するFA機器、そして国内外で不足が報じられる半導体部品などは今後も成長は見込まれそうです。
すなわち、今現在部品を納品している、その先のお客様の市場で成長が見込まれるのかどうかが非常に重要なポイントになってきます。
このような、「取引先の取引先」の市場におけるプロダクトライフサイクルを考慮して、成長性を見極めることこそが、自社にとって「長く取引できそうか」に繋がってくるわけです。
新規営業のポイント②:仮説をつくる
■課題を作れば提案できる。仮説は課題に合意する武器。
提案先が見えてきたら、次はどんな価値を伝えるべきか、仮説を作ります。
ここで言う仮説というのは、「どんなニーズを持つお客様に、どんなメリットを伝えるか」ということです。
お客様のニーズを掴みたい。とはいえ、お客様に対して単純に「何かお困りごとはありませんか?」とお伺いしても「今は困っていないかな」と返ってくるのが常です。なぜならお客様には既に自社以外の外注先がいるからです。新規営業というものは、お客様の心を掴んでいる外注先に対して割り込みを行うものなのです。
そのため「こういった点でお困りではございませんか?弊社であればこのようなアプローチでお客様の課題を解決します」というように、仮説をぶつけていく必要があります。
仮説をぶつけることで、現在のお客様の理想と現状を認識してもらい、既存の外注先から納品される部品の課題を認識してもらうのです。
最も、提案内容はあくまで仮説なので、必ずしもお客様の心に刺さるとは限りません。しかし、「こういった点でお困りごとではないですか?」と聞かれれば、困っているか困っていないかについては答えていただけるものです。「困っていない」のであれば「ではどのような点で課題がおありでしょうか?」というように真の課題を聞き出すチャンスが生まれます。
課題を引き出すことができれば、あとは自社の商材や技術を用いたアプローチを提案することができます。
■仮説作りのポイントは「自社独自の強み」
お客様の課題を聞き出すことができても、自分たちに解決できる課題でなければ受注を得ることはできません。
特に製造業のように、設備や技能上の制約を受ける業態では、「お客様のニーズ」と「自社でできること」のすり合わせを考慮した仮説作りが重要です。
マーケティングの基礎基本は「お客様のニーズをとらえて、自社の価値提案を考える」ですが、下請け受注型の製造業においては「自社が提供できる価値から逆算して、そのニーズが刺さるターゲットを考える」といった、逆算の思考も重要です。
自分たちの技術にどのような価値があるのかを洗い出し、その価値をメリットとして捉えてくれるお客様にはどんな課題があるのか。伊鈴製作所様ではこのような考え方で仮説作りを行いました。
ご支援を受けていただいて
仮説は考えて終わりではありません。仮説をお客様にぶつけることで、真のニーズを確かめていく必要があります。すなわち商談です。
このような考え方で構築した提案内容の仮説を、商談で使用する提案資料に落とし込み、さらにどのような話法でお客様と商談を進めるべきかまでサポートさせていただきました。
お客様からは、「自社の強みの洗い出し方や、お客様目線でのメリットの作り方がわかった。」「ターゲットの情報をどのように集めたら良いのかとても勉強になった。」「お客様に対してどのようにヒアリングをしたらよいのかイメージを持つことができた。」というお喜びの声をいただきました。
実際、全5回のプロジェクトの間に、新規案件の受注を5件成約いただくことができました。
その後も継続して新たなお仕事の依頼を受注されているとのことで、順調に新規案件の獲得を進めていただいております。
このような形で自社が提案すべきターゲットや訴求すべきポイントが見えてきたため、今後はWebを活用した集客にも取り組んでいかれる予定です。