コンサルティング本部 コンサルタント
こんにちは!コンサルタントの石田和晋です。
社長ご自身がプレイングマネージャーとして現場の最前線に立ちながら、営業スタッフも既存顧客のフォローや新規開拓に日々走り回っている。そんな光景は地方の中小企業ではよく見られます。全員が忙しく働いているものの、経営者としてはこんなお悩みはないでしょうか。
「ある人は新規案件をガンガン取ってくるが、ある人はいつも既存顧客の御用聞きで終わってしまう…」
「月末や期末に数字を作るために、お得意先になんとか頭を下げてギリギリ達成している…」
「スタッフによって成果にバラつきがあるが、自分も忙しくてじっくり指導する時間がない…」
今回のコラムでは営業活動が属人化してしまうのを防ぐための「営業プロセスマネジメント」についてお話しします。個人のセンスや気合に頼らず、組織として安定して売上を作るための具体的な「最初の一歩」と、正しい目標(KPI)の立て方がわかります。
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営業の成果がバラつく原因は「点」しか見ていないから
営業の成果が人によってブレてしまう最大の原因は、営業活動を「点」でしか見ていないことにあります。「点」とは、「受注できたか・できなかったか」「目標達成できたか・未達だったか」という結果のことです。結果だけで営業を評価してしまうと、なぜ売れたのか、どこでつまずいたのかが分かりません。
既存フォローと新規開拓を兼務する忙しい現場でよくあるのが、「もっと営業しよう!」という号令がかかった時に、ある人は「とにかく訪問をして、お客様とたくさん話をしよう」、ある人は「新商品の魅力が伝わるように商談の練習をしよう」、またある人は「メールと電話をうまく組み合わせて、効率よく見積提案数を伸ばそう」と色々な手法や視点で頑張ろうとする光景です。しかし、そもそもの営業プロセスが曖昧なままで十人十色の営業手法だと、社長やマネージャーも「もっと頑張れ」「気合を入れろ」といった、やや精神論な指導しかできなくなってしまいます。
「どんな行動をしたから、売上につながったのか」。この一連のプロセス、すなわち「線」で営業活動をとらえることが脱・属人化の第一歩です。
自社の「王道の営業プロセス」を分解する
まずは、アプローチから受注に至るまで上手くいっている「王道の営業プロセス」を段階ごとに書き出し、それぞれのステップにおける「目的」を明確にしましょう。例えば、以下の図のように整理することができます。「営業」と一言で言っても、実はこれだけ細かなプロセスと目指すべきゴールがあると言えます。プロセスを分解することで、「うちのAさんはセットアップ(関係構築)は得意だが、ヒアリング(課題の合意)が苦手だ」「Bさんは提案数は多いが、クロージングがしっかりできずに案件が流れてしまうことが多そうだ」といった、具体的な課題が見えてきます。

もちろん、全てのターゲットや商材で全く同じ営業プロセスでできる訳ではありませんし、顧客との関係値や営業パーソンの経験値によっても大きく変わってくると思います。しかし、重要なことは「あの人だから売れる」「あのお客さんだからできる」として属人的な要因で片づけないことです。まずは主要な商材から、今の期特に力を入れている商材から、といった具合に優先順位をつけて整理することをおすすめします。
社内で「営業の言葉の定義」を揃える
営業プロセスを分解したら、次は社内で使っている「営業の言葉」の認識を揃えます。実はここが、営業プロセスマネジメントにおける意外な落とし穴です。進捗報告の場でスタッフが「今週は5件も商談しました!」「あの案件、かなり前向きです!」と言ったとき、社長やマネージャーの頭に浮かぶ状況と、営業スタッフの実際の行動は本当に一致しているでしょうか?
「商談」と言いつつパンフレットを置いて世間話をしただけだったり、「前向き」と言いつつ窓口の担当者が個人的に興味を持っただけだったり…なんてご経験はないでしょうか。ほかにも、人によって解釈が異なりそうな営業にまつわる言葉にはこんなものがあります。
訪問、商談、ヒアリング、聞き取り、提案、検討、前向き、新規先、既存先、お得意様…
「言われてみれば、社員によって解釈が違うかもしれない……」とお気づきになるかもしれません。この認識のズレをなくすため、誰もが同じように判断できる客観的な「共通言語」を作ります。例えば、「訪問」と「商談」であれば、こんな風に定義して区別してみましょう。
「訪問」:担当者と直接ご挨拶をさせていただき、名刺やチラシ等をお渡しすること。
「商談」:お客様の具体的な課題についてヒアリングし、それに合った解決策を提案すること。
このように定義しておくだけで、「3件の商談」が実はただの挨拶回り(訪問)だった、という認識のズレを防ぐことができます。また最終的な売上に直結する「売上見込み(ヨミ)」も同様です。担当者の「いけそうです」という感覚ではなく、「誰と何を話して、どういう状態か」という客観的な基準で分類します。例えば当社では、下図のような形で「ヨミ」を定義づけています。これにより、全員が同じ基準・同じ尺度で営業活動について認識を共有できるようになるわけです。

ゴールから逆算して「行動目標(KPI)」を設計する
社内で営業の言葉の定義が揃ったら、最後に「目標の立て方」を見直しましょう。日々の業務に追われる現場では、「今月は気合を入れて100件訪問しよう!」「とにかくたくさん電話をかけろ!」といった精神論で行動目標を決めてしまいがちです。しかし、これではスタッフも「なぜその件数が必要なのか」が分からず、ただ疲弊してしまいます。
そこで役立つのが、最終的なゴールから逆算して各ステップの目標数値(KPI)を割り出すという考え方です。例えば「新規受注を5件」という目標達成のために以下の画像のように計算します。

このように順序だてて逆算してみると、「5件の受注には、実は340件のアプローチが必要」という根拠のある数字が見えてきます。もちろん最初はその通りにはならないですし、ある程度データや経験値の蓄積も必要になります。
しかし目安の数字が分かっていれば、声のかけ方も変わります。「とにかくもっと回れ!」ではなく、「今月は34件の商談を作るために、まずはリストを340件用意してアプローチしよう」と具体的な指示が出せますよね。あるいは、「今の営業人数で340件もアプローチするのは物理的に無理だ。だったら、アプローチから商談に繋がる確率を10%から20%に引き上げるためのトークスクリプトを一緒に考えよう」と、より本質的で建設的な作戦会議ができるようになります。
ただ数字を押し付けるのではなく、ゴールから逆算してプロセスを見える化することで、スタッフも納得して前向きに行動できるようになるのです。
まとめ
営業力強化の第一歩は、高価な顧客管理システムを導入することではありません。まずは自社のプロセスを細かく分解し、社内の「共通言語」を作るという地道な可視化から始まります。 「自社の営業プロセスをどう分解すればいいか迷う」 「営業に対する捉え方、理解度に差があって苦労する」 「うちの業界や商材に合った戦略やKPIを設定してほしい」 もしそんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度私たちにご相談ください。社長やマネージャーの頭の中にある営業ノウハウを紐解き、スタッフ全員が明日から実践できる仕組みへと落とし込むお手伝いをいたします。まずは、営業活動を俯瞰することから一緒に始めてみませんか?





